「インディカー」見てみませんか? part 2

「インディカー」見てみませんか? part 2

あの頃セナ・プロに熱狂した方へ 2021 ③

2021年5月2日 追記
2021年5月13日 追記

前回では「インディーカー」のマシンについて説明をしました。

今回は特徴のある予選の方式を解説してみたいと思います。
「速さ」だけではなく、「運」の要素も重要なファクターとなる、ユニークな方法が採用されています。


「インディーカー」 3つの予選方式

2021年の「インディーカー」は全17戦が予定されてます。
当初は3月に開幕の予定でしたがコロナの影響により延期され、4月17日(日本時間4月18日)のアラバマGP(バーバー)からスタートします。
世界三大レースのひとつ「インディ500」は、5月30日(日本時間5月31日)に決勝レースが予定されています。

各レースは原則として以下のようなスケジュールで開催されます。

金曜日・・・練習走行
土曜日・・・練習走行、予選
日曜日・・・決勝レース

「インディ500」や、土曜日と日曜日それぞれに決勝レースがあるダブルヘッダーの場合は、例外となりスケジュールが異なります。

「インディカー」の予選には大きく分けて

①「ロード(サーキット)」及び「ストリート(市街地)」用
②「オーバル用(トラック形のコース)」用
③「インディ500」用

の3つの方式があります。

それでは、この3つの予選方式について解説していきますね。



①「ロード」及び「ストリート」コースの予選方式

基本の形は「セグメント1」「セグメント2」「ファイアストン・ファスト・シックス」の3段階で行ないます。

セグメント1
1. 全車の練習走行での順位が、奇数か偶数かによって、2つのグループに分けられます。
 どちらの組が先に走るかは、トップタイムを出したドライバーが選択できます。
 先に走る組をグループ1、後がグループ2となります。
2. それぞれのグループは10分間のアタックを行い、各グループ上位6位までの12台がセグメント2に進出します。
3. 各グループ7位以下の決勝グリッドは以下のように確定します。
 グループ1・・・13位以降の奇数グリッド
 グループ2・・・14位以降の偶数グリッド
 *グループ1のグリッドが前なのは、タイヤラバーが路面に乗っていない不利な状態でのアタックのためです。

セグメント2

1. セグメント1を勝ち抜いた12台が、10分間のタイムアタックを行い、上位6台が「ファイアストン・ファスト・シックス」に進みます。
2. 7位以降は予選順位がそのまま決勝グリッドとなり、7位から12位までが決まります。

ファイアストン・ファスト・シックス
6分間のアタックでポールポジションから6位までの順位を決め、レースに臨みます。

セグメント1では、天候の急変や、時間の後半でスピンなどで「イエローフラッグ」が出たりして、どちらかのグループの全車がタイムを出せすに、7位以降がまとめて下位に沈んだりする波乱が起きたりします。

例年デトロイトなどで開催されるダブルヘッダーのレースでは、土曜・日曜の決勝前に予選を行います。
通常の3段階の方式ではありません。
全車を2つの「組」に分けて各12分間のタイムアタックを行い、最速タイムを出したドライバーが含まれるグループが奇数順位(1位、3位・・・)、そうでない方が偶数順位(2位、4位・・・)となります。

「F1」の予選と同じ「ノックアウト方式」なのですが、やり方が少し違うという感じですね。


②「オーバル」コースの予選方式

「オーバル」コースの場合は、各車1台ずつのタイムアタックです。
出走順は、それまでの獲得ポイントの少ない順になります。
ポイントが無いドライバーが複数いる場合は、くじ引きで決定します。

ピットを出て2周のウォームアップを行った後アタックを開始、2周のタイムの合計でスターティング・グリッドを決定します。

今年(2021年)の第3・4戦 テキサスは土曜・日曜のダブルヘッダーでの開催予定です。
予選での1周目のタイムが土曜レース(レース1)、2周目のタイムが日曜レース(レース2)のグリッドがとなります。

5月1日(日本時間:2日)のテキサスでの2戦は、現地の天候が悪くスケジュールが大きく変更されました。
予選がキャンセルとなり、第2戦までの獲得ポイント順でレース1のグリッドが、レース1後のポイント順でレース2のグリッドが決まる形になりました。
このように「インディカーシリーズ」では、天候などの理由によって大きくレースの日程が変更される事があります。


③「インディ500」の予選方式

このレースは、レースカレンダーの中でも特別な扱いをされていて、毎年5月に入るあたりからレースイベント(初参加ドライバーのテストや街中でのドライバー・パレードなど)が始まり、数回にわたる練習走行を含め月末の決勝に向けて2週間ほどのイベントとなります。
地元のインディアナポリスは「インディ500」一色となり、レースを盛り上げていきます。

「インディ500」の予選は、原則として決勝レースの1週間前の土・日曜日、2日間の日程で行われます。
参加台数やその年のレギュレーションによって、少々複雑になっていたりしますので、ここでは昨年(2020年)のルールでご説明します。
又「インディ500」のタイムアタックは「アテンプト」と呼ばれてますので、それに倣って進めていきます。


予選1日目
 

「インディ500」の決勝レースに出走できるのは33台と決められていて、エントリー数がそれを超える場合はいわゆる「予選落ち」が発生します。

まず全車が走行順をくじ引きによって決め、1台につき2周のウォームアップの後、4周のアテンプトを行います。
他の「オーバル」の予選がタイムで決まるのと違い、「インディ500」では4周の平均速度で順位が決まります。

エントリー全車がアテンプトを終えた後、再アテンプトを希望するドライバーは先着順で走行が可能です。
ピットレーンで並んで順番を待つのですが、それまでの暫定順位を放棄して新たなアテンプトを行う場合は「ファーストレーン(レーン1)」、暫定順位を維持したまま再アテンプトをする場合は「レーン2」に並ぶことになっています。
「ファーストレーン」は「レーン2」より常に優先され、「ファーストレーン」に並んだ車が居なくなるまで「レーン2」のクルマは待ち続けなければなりません。

予選1日目は、現地時間の11:00~17:50と結構長い時間行われるので、気温が下がりコースにタイヤラバーが乗っている後半の時間帯は、「ファーストレーン」の再アテンプトが集中して「レーン2」に順番がまわらず、有力ドライバーが下位に沈むなどの番狂わせが起こる事もあります。

全ての走行が終わって、その時点で暫定1位~9位のマシンは「ファーストナイン・シュートアウト」、暫定31位以下は「ラストロー・シュートアウト」にそれぞれの「組」にわけられます。
この2組の順位はいわゆるスターティング・グリッドではなく、あくまで予選2日目のための「ポールを狙う組」と「予選通過を決める組」を決めるためのものです。

上記以外の予選10位から30位のマシンは、順位がそのままスターティング・グリッドとなり決勝に臨みます。


予選2日目

予選1日目で決まった「ラストロー・シュートアウト」のマシンは、くじ引きによって出走順を決め各車1回(4周)ずつのアテンプトを行います。
この結果の上位3台が、スターティング・グリッドの31位から33位となり、それ以下のマシンは「予選落ち」となり決勝に出場できません。

つづいて「ファーストナイン・シュートアウト」が行われます。
予選1日目の暫定9位のマシンから、逆順にアテンプトを1回ずつ行い、ポールポジションから9位までのグリッドを決定します。

これで「インディ500」の決勝スターティング・グリッドが全て決定します。

今年(2021年)の「INDY500」予選2日目、「ファーストナイン・シュートアウト」は「ファーストナイン・クォリファイ」に、「ラストロー・シュートアウト」は「ラストチャンス・クォリファイ」にそれぞれ名称が変更されています。
予選方式の内容は記事の通りです。
5月13日現在「インディ500」には35台のマシンがエントリーされていますから、「予選落ち」が2台発生することになりますね。


今回は、「NTT インディカーシリーズ」の予選方式についてご説明しました。

レースが行われるコースによって、異なるルールになっていて少々複雑です。
冒頭にも書きましたが「F1」のように、純粋な「速さ」だけを競うのではなく、「運」をも味方に付ける必要のある予選であることが、お解り頂けたでしょうか?
エンターテインメント性を重視するアメリカらしい演出ですね。

残念ながら日本での「インディカーシリーズ」予選の放送・配信はありません。(「インディ500」予選は放送される場合があります)
私(管理人)はタブレット・スマホ用の「INDYCAR 公式アプリ」で予選をチェックしてます。
リアルタイムで予選タイムやマシンの走行位置、ドライバーのアクセル・ブレーキワークやチーム無線まで無料で楽しめるおすすめアプリです。
是非、一度試してみてください。

次回は「インディカー」のレースについて、説明したいと思います。

参考サイト
The Official Site of the NTT INDYCAR SERIES 【公式サイト】
https://www.indycar.com/
2021 NTT INDYCAR SERIES Rulebook【ルールブック】
https://epaddock.indycar.com/

あの頃セナ・プロに熱狂した方へ 2021 ③/「インディーカー」見てみませんか? part 2(了)