「インディカー」見てみませんか? part 3
- 2021.05.12
- モータースポーツ
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あの頃セナ・プロに熱狂した方へ 2021 ⑤
「F1」ファンの方へ向けて「インディカーシリーズ」の概要について連載しています。
今回はエンターテインメント性と、スピード感あふれる「レース」の見どころをご紹介したいと思います。
「F1」とはまた違った魅力をもつ「NTT インディカーシリーズ」も見てみませんか?
今回は、そんなお誘いです。
「レース」の見どころ
「Drivers! Start your engines!」
この掛け声でピットレーンに並んだマシンに火が入り、スタートに向けてコースへと向かいます。
「インディカー」のスタートは「F1」と違い、ローリングスタート方式(走りながらスタート)です。
「ロード」「ストリート」「オーバル」コースを問わず、基本は2列縦隊。「インディ500」では3列の隊列で行います。
高速オーバルのレースでは、スタート時に3台~4台が横並びで1コーナーに飛び込んでいくシーンも多く見られ、とにかく大迫力です。
レースの距離
「F1」では基本的にレース距離が300km±とされていますが、「インディカー」では各GPによってさまざまで、最短で約164マイル(102km)から、最長の500マイル(約312km)、平均で約230マイル(144km)位です。
コースによって平均速度が違いますから、レース時間が2時間前後(インディ500は3時間位)になるように距離の方で調整されています。
全周回の半分を消化した時点で、レース成立となります。
タイヤ交換義務・給油
レース中「レッドタイヤ(ソフト)」「ブラックタイヤ(ハード)」の2種両方を、最低2周装着して走る義務があります。
「インディカー」のマシンは燃料タンクが小さく規定されていて、何回かはレース中に給油のためのピットインを強いられますから、各ドライバーのタイヤ戦略も大きな注目点です。
ピットイン
「F1」では同じチームの2台が同じ場所を共有して、タイヤ交換を行いますね。
ピットクルーも20人前後いて、素早いピットワークを行っています。
「インディカー」ではマシンそれぞれのピットが、その時点でのポイント順で割り当てられており、マシンに触れる人数も7人までに制限されています。
これはピットの間隔が狭く、危険なための処置になります。
「F1」のような繊細な作業ではなく、力技のピットワーク。
凄いです。
スポッター
「オーバル」のレースでは、「スポッター」というチームクルーが大活躍します。
メインスタンドの屋根の上からコース全体を見渡し、ドライバーに周囲の状況を伝える役割です。
「オーバル」コースは走行ラインが複数あり、3台が横に並んでデッドヒートを繰り広げる! なんてことがよくあります。
マシンのバックミラーは小さくて死角も多いので、ドライバーは周囲がよく見えません。
「スポッター」はそれを補うため、ライバル車との位置関係やコースの状況(どこに破片が落ちてるとか)などを無線で伝えます。
レース中は、ほとんど喋りっぱなしって感じです。
「インディカー公式アプリ」でも「スポッター」の声が聴けますので、一度お試しを。
フルコースコーション
マシンのスピンやクラッシュの破片が散乱してコースをふさいだ時、「F1」では「セーフティーカー」が宣言されますね。
「インディカー」ではこれを「フルコースコーション(フルコースイエロー)」と呼びます。
「オーバル」でのレースでは安全のため、小さなパーツの落下でも「フルコースコーション」が出されます。
コースの障害を取り除くまで「ペースカー」を先頭に全車が隊列を組み、安全な速度で走行しなければなりません。
これが宣言されると、それまでのマシンのタイム差が無くなりますので、宣言解除の際には、再びスタート時と同様な接近戦が繰り広げられます。
応援しているドライバーが、トップを独走してる時にこれが出ると「なんだよ~」って感じになりますけどね。
また、「フルコースコーション」中は全車の速度が遅くなりますので、タイム上有利な形のピットインになります。
このピットインが影響して、先頭のマシンが大きく順位を落としたり、意外なドライバーがトップに立ったり、レースの趨勢(すうせい)が大きく変わる要因にもなっています。
ポイントシステム
「インディカー」では、レースの最終順位に応じてドライバーにポイントが付与されます。
「F1」が上位10位までの付与に対して、「インディカー」では、基本的にスタートしたマシンすべてにポイントが与えられます。
レース序盤でクラッシュに巻き込まれ破損したマシンを、ガレージで修理をしてレースに復帰させ、1ポイントでも多く獲得しようと努力するドライバーもよく見られます。
ドライバーには順位に対するポイントの他、ポールポジション、最多トップ周回、トップ走行(1周でも)それぞれについてもポイントが与えられ、チャンピオン争いを盛り上げています。
「インディ500」では、付与されるポイントが2倍となっています。
ドライバーズポイント
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 |
50 | 40 | 35 | 32 | 30 | 28 | 26 | 24 | 22 | 20 | 19 |
12位 | 13位 | 14位 | 15位 | 16位 | 17位 | 18位 | 19位 | 20位 | 21位 | 22位 |
18 | 17 | 16 | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 9 | 8 |
23位 | 24位 | 25位 | 26位 | 27位 | 28位 | 29位 | 30位 | 31位 | 32位 | 33位 |
7 | 6 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
ポールポジション・・ 1ポイント
最多トップ周回・・・ 2ポイント
トップ走行・・・・・ 1ポイント
(1周以上)
安全対策
「インディカー」の長い歴史の中では、不幸な事故が多くありました。
その経験から進化を続けてきたインディカーの「安全対策」は、モータースポーツ界をリードしています。
その中で、目覚ましい活躍を見せてくれるのが、「AMR インディカー・セイフティ・チーム」です。
医師や救助、消防のエキスパート約20人で構成され、即座にアクシデントの現場に駆け付けます。
彼らの使用する3台の専用トラックとドクターカーは、全てのレースに帯同し必要な機材が満載されていています。
一方、コースの安全対策も進んでいます。
「オーバル」ではコースが全て壁に囲まれていて、クラッシュの際にドライバーが受ける衝撃は、大変大きなものとなります。
ドライバーの保護のため、マシンの側にも衝撃を吸収する構造が取り入れられていますが、それに加えコースサイドの壁にも安全のための工夫が施されています。
「セイファーバリア」(右図)と呼ばれるもので、現在モータースポーツで使用されている中では最高水準のものです。
滑らかに溶接された鋼製のフレームを、ポリウレタンのクッションで支える構造で、本来のコンクリート壁に設置する形になっています。
この「セイファーバリア」は、「インディカー」のレースが行われる全ての「オーバル」コースに導入されています。
今回は「インディカー」の「レース」についてお話しました。
現在(2021年)、日本で「NTT インディカーシリーズ」を中継・配信しているのは、CSの「GAORA」のみとなっています。
インディ経験者である松田次生、松浦孝亮、武藤英紀等、現役ドライバーを中心とした解説陣の体験に基づくレースや技術的な解説、海外ドライバー達との個人的なエピソードなど、真面目な感じの「F1」の中継とは違ったリラックスした雰囲気の放送です。
レース前のセレモニーで飛来する飛行機について、DAZNのF1中継でお馴染みの小倉茂徳が放送中にTwitterで解説したりして結構自由です。
生中継は時差の関係でこちらの深夜~早朝にかかる事が多く、睡魔と闘いながらの観戦となりますが、そんな事は気にならない楽しい中継だと思っています。
又、「GAORA」のサイトには「インディカー」の最新情報が満載のブログがありますので、こちらも要チェックです。
今月は、「F1」のモナコGP(5月23日)、「インディカー」のインディアナポリス500(5月30日)とビックレースが続きますね。
激闘が続く「メルセデス」VS.「レッドブル」、角田祐樹の初モナコ参戦、佐藤琢磨の3回目の優勝なるか?
どちらも目が離せません。
またまた、夜更かしが増えそうです。
こちらの記事も合わせてお読みください。
「インディカー」見てみませんか?part1 マシン 編
「インディカー」見てみませんか?part2 予選方式 編
参考サイト
The Official Site of the NTT INDYCAR SERIES 【公式サイト】
https://www.indycar.com/
2021 NTT INDYCAR SERIES Rulebook【ルールブック】
https://epaddock.indycar.com/
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