「インディカー」見てみませんか? part 4

「インディカー」見てみませんか? part 4

あの頃セナ・プロに熱狂した方へ 2021  ⑥

F1」ファンの方へ向けて「インディカーシリーズ」の概要について連載しています。

いよいよ2021年5月30日(日本時間31日未明)「第105回 インディアナポリス500(インディ500)」が決勝が行われますね!!
日本ではCS局の「GAORA」で生中継・配信される予定です。
又、NHKのBSでも31日夜に放送があります。


佐藤琢磨の「インディ500」3回目の制覇なるか?
今、注目のドライバーは誰?
元「F1」勢の活躍は?
今年の「インディ500」出場の注目ドライバーついて解説したいと思います。

今回は、そんなお話です。


「第105回インディ500」の注目ドライバー

今回は、初めてや久しぶりの「インディ500」観戦の方に向けて、私(管理人)の独断と偏見で選んだ、注目ドライバーをご紹介していきます。
レースの予習替わりに、ぜひご一読下さいませ。

元「F1」パイロット

佐藤琢磨(日本)
2017年と2020年の「インディ500」王者です。
「F1」時代は「ジョーダン」「B.A.R」「スーパーアグリ」でドライブしていました。
2004年に3位表彰台を獲得したのが、「インディアナポリス(ロードコース)」で行われたアメリカGPだったのも、何か縁を感じますね。
「インディカー」には2010年からフル参戦しています。
彼のモットーである「ノーアタック ノーチャンス」の言葉通り、年齢を感じさせない(44才)切れ味鋭いオーバーテイクが魅力です。
3度目の「インディ500」制覇を、応援しましょう!!

マーカス・エリクソン(スウェーデン)
2014年「ケータハム」で、2015年から2018年は「ザウバー」で走っていました。
「小林可夢偉」のチームメイトだったのを、覚えている方もいらっしゃるでしょう。
2019年から「インディカー」に参戦しています。
はっきり言って、レース中はあまり目立たない印象なんですが、去年は14レース中9回でTOP10入りするなど、確実にポイントを稼いでいるドライバーです。

セバスチャン・ボーデ(ブルデー)(フランス)
赤いメガネがトレードマーク。
「インディカー」の前身である「チャンプカー」で、2004年から4年連続で年間チャンピオンを獲得した経歴を引っ提げ「F1」に参戦。
2008年から2009年途中まで「トロ・ロッソ」をドライブしました。
「インディカー」には、2011年から参戦しています。
2017年の「インディ500」予選では大クラッシュを喫し、骨盤など数か所を骨折する大怪我を負いましたが、驚異的な回復力を見せ、わずか3か月でレースに復帰しファンを驚かせました。
耐久レースでも活躍するなど、レース好きにはお馴染みのドライバーですね。

アレクサンダー・ロッシ(アメリカ)
この人の「F1」時代を覚えている方は、あまりいらっしゃらないかも知れませんね。
「F1」での出走は2015年「ノマー・マルシャ」から5戦のみとなっています。
「インディーカー」に転向した2016年、いきなり「インディ500」で優勝し注目を集めました。
以降、トップドラーバーの一員として、すっかり定着しています。
でも、なんかクラッシュに巻き込まれることが多いんですよねぇ、この人。

マックス・チルトン(イギリス)
「マルシャ」から2013年と2014年に「F1」フル参戦。
2013年は、新人として初の全レース完走という記録を持っています。(現在も唯一です)
イギリスの名門チーム「カーリン」とゆかりが深く、「F1」以前から現在の「インディカー」に至るまでこのチームで、ほとんどのキャリアを過ごしています。

ファン・バブロ・モントーヤ(コロンビア)
通称「コロンビアの暴れん坊」。
2001年から2006年にかけ、「ウィリアムス」「マクラーレン」で優勝6回の実績と共に、過激な走りと言動で記憶に残るドライバーですね。
プライベートのテニスで肩を骨折し、レースを欠場なんてこともありました(笑)。
その後、アメリカで人気の「NASCAR」で7シーズンを過ごし、2014年「インディカー」に参戦。
2015年の「インディ500」では、優勝を果たしています。
これは自身2回目の「インディ500」制覇で、「F1」参戦前の2000年にも「インディカー」の前身「CART」時代にここで優勝しています。
耐久レースなど、他のカテゴリーでも、その名前を目にすることが多い、”タフネス”ドライバーです。
今年は「インディ500」のみスポット参戦。
頑張ってほしいものですね。

「インディカー・シリーズ」のチャンピオン達

スコット・ディクソン(ニュージーランド)
「CART」から数えて参戦21年で、年間チャンピオン6回獲得の圧倒的なキャリアを持つドライバーです。
「ジ・アイスマン」の愛称の通り、クレバーな走りでレースの流れを読み、勝負所をモノにする。
正に現代の「Mr.インディカー」と言える存在だと思います。
昨年(2020年)の「インディ500」では、レース終盤に佐藤琢磨と激烈なトップ争いを繰り広げ、レースを盛り上げました。(他車のクラッシュによる黄旗終了は残念でしたね)
2008年の「インディ500」ウィナーです。

トニー・カナーン(ブラジル)
「インディカー」の歴史を見続けてきた46才。
参戦24年目のレジェンドとして、ドライバー達の尊敬を集めています。
愛称は「T .K .」。
2004年の年間チャンピオンです。
2019年限りでフル参戦は終了しましたが、この人がいないと「インディカー」って感じがしませんから、今年のスポット参戦は嬉しい限りです。
元チームメイトだった武藤英紀が、レース中継で語る彼のエピソードからも、ストイックかつ面倒見のいい人柄が伝わり、私(管理人)が好きなドライバーの一人です。
「インディ500」は2005年に優勝しています。

ライアン・ハンターレイ(アメリカ)
2012年の年間チャンピオンで、2014年の「インディ500」勝者です。
久しぶりのアメリカ人チャンピオンとして、一気にトップドライバーに仲間入りしました。
過去に何度か、佐藤琢磨と絡むクラッシュを起こしており、両者が並んで走っていると何かが起こりそうで、ハラハラしながら成り行きを見守っています。(なんかいっつも同じところ走ってるんですよねぇ この二人。)
アメリカの他カテゴリーレースでも活躍中です。

ウィル・パワー(オーストラリア)
2009年、名門チーム「ペンスキー」に抜擢されて以来、第一線で活躍するドライバーです。
参戦当初は、「ロード/ストリートコース」に強く、「オーバルコース」では全く結果が出ず、ムラのある感じでしたが、徐々に改善し2014年に年間チャンピオンへと昇りつめました。
ここ数年は常にランキング5位以内入り、安定した成績を残しています。
「インディ500」では2018年に優勝しています。

サイモン(シモン)・パジェノー(フランス)
2012年から「インディカー」に参戦すると、その年のランキング5位でルーキーオブザイヤーを獲得しました。
2016年の年間チャンピオン、2019年の「インディ500」優勝。
去年(2020年)、コロナ禍の代替イベントとして行われたシミュレーターによるレースで、故意と思われるクラッシュを引き起こし、ネットを大炎上させたのは記憶に新しい所です。(大人気ないなぁ)
普段は、大人しい走りの印象なんですがねぇ。

ジョセフ・ニューガーデン(アメリカ)
2017年、2019年の年間チャンピオン。
キャリア前半はヨーロッパを中心に活動し、2012年から「インディカー」にフル参戦しています。
オフには、TVやスポーツイベントにゲストとして引っ張りだこで、「インディカー」の人気をけん引しています。
熱心なゲーマーでもあり、「Forza」というレーシングゲームのアンバサダーも務めています。
新たなアメリカン・ヒーローとして、今後も活躍を期待したいドライバーです。

日本で活躍したドライバー

フェリックス・ローゼンクヴィスト(スエーデン)
「F1」をめざしてヨーロッパで活動していましたが昇格は果たせず、2016年以降様々なカテゴリーに参戦していました。
日本では2017年にスーパーフォーミュラで年間ランキング3位、2018年はスーパーGTで年間10位の成績を残してます。
その他、電動車レースのフォーミュラEやルマン24時間耐久レース、各ツーリンクカー選手権など多種のわたるレースで経験を積み、2019年「インディカー」にフル参戦しました。
2020年に第4戦で初優勝を果たしています。
持ち前の順応性で、「インディ500」でも活躍を!

アレックス・パロウ(スペイン)
2019年にスーパーフォーミュラとスーパーGTにフル参戦してましたので、覚えている方もいらっしゃるでしょう。
所属したスーパーGTのチーム(チーム郷)がアメリカのチーム(デイル・コイン)とパートナーシップを提携した事を機に、2020年から「インディカー」に参戦しています。
初年度から表彰台に昇るなどの活躍を見せ、今年(2021年)からトップチームのひとつ「チップ・ガナッシ」に移籍しました。
すると、開幕戦でいきなり初優勝。
以降のレースでも上位フィニッシュを繰り返すなど、速さを発揮しています。
日本と縁の深い若手ドライバーとして、今後も応援していきたいと思っています。

管理人のお気に入り

エリオ・カストロネベス(ブラジル)
「インディカー」前身「CART」時代からのベテラン。
「インディ500」は3回制覇してます。
ここ数年はインディアナポリスでの2レースのみの参戦となっていますが、速くて陽気なブラジリアンとして、今だに人気者です。
いつも笑顔でインタビューに応じる姿は、見ているこちらもなんか嬉しくなってきます。
佐藤琢磨が制した2017年の「インディ500」で見せた、終盤のテイルトゥノーズの激走はいまだに忘れられません。
まだまだ熱い走りは健在だと思っています。
又、優勝時のパフォーマンス(スパイダーマン=観客席の金網昇り)を見てみたいです。


コルトン・ハータ(アメリカ)
「インディカー」期待の新星です。
2018年のスポット参戦を皮切りに、各レースで光る走りを見せました。
参戦2年目には、「インディカー」史上最年少の優勝(18歳359日)を果たしています。
昨年(2020年)には、全14戦で7回のトップ5フィニッシュでランキング3位(1勝)。
今年も第2戦で優勝するなど、その才能は全米の注目を集めています。
速いですよぉ~!
最近では、将来「F1」への移籍を期待する声も上がり始めています。
それも見てみたいなぁ…

チャーリー・キンボール(アメリカ)
1型糖尿病と向き合いながら、レースを戦っています。
マシンのダッシュボードに持続血糖モニターをつけ、血糖値を常にモニタリングをしながらドライブ。
成績とは関係なく、その強い意思と勇気を応援しています。
キンボールはこう言っています。
「糖尿病だからと夢をあきらめる必要はない。他の人より少し努力が必要なこともあるが、何でもできる、レーサーにだってなれる」
尊敬しています。


私(管理人)の選んだ「インディ500」注目ドライバー達を紹介しました。

この他にも「インディ500」に出場する「F1」に縁があるドライバーとしては、2度の「F1」王者、エマーソン・フィッティバルディの孫のピエトロ・フィッティバルディや、1978年「F1」チャンピオンであり「インディ500」を3回制した、マリオ・アンドレッティの孫、マルコ・アンドレッティ(父親マイケルもセナと一緒に走ってましたね)、「ミナルディ」などで走っていたジャスティン・ウィルソンの弟、ステファン・ウィルソン、かつての名レーサーであり「レッドブル」の前身「ジャガー」の創設者の一人でもあるボビー・レイホールの息子、グラハム・レイホール(琢磨のチームメイト)などの顔ぶれがいます。

昨年まで「F1」で活躍し、派手なクラッシュである意味人気だったロマン・グロージャンは、今年から「インディカー」に転向していますが、ご家族の反対により「インディ500」には出走しません。
残念ですが、仕方ないですね。


この中の誰がが勝つか?はたまた、意外なドライバーが上がって来るのか?
全く予想が付かないのが、「インディカー・シリーズ」の面白いところです。

今から、グリーンフラッグが待ち遠しいですね。

あ、そうそう。
「インディカー」初の女性ドライバーだったダニカ・パトリックが、ゲストを乗せる「2シーター・カー」をドライブし、パレード・ラップを先導するそうです。
2008年に「ツインリンクもてぎ」で行われた「インディジャパン300」の優勝者ですね。
懐かしいなぁ。

「インディ500」観戦のガイドとしてこちらの記事もお読みください。

「インディカー」見てみませんか? part 1  マシン解説
「インディカー」見てみませんか? part 3  レース方式

あの頃セナ・プロに熱狂した方へ 2021  ⑥「インディカー」見てみませんか? part 4  (了)