「食パン」の「食」って なに?

「食パン」の「食」って なに?

管理人が「ん?」って思ったこと

先日、街中で大きく「食パン」とだけ書かれた 幟(のぼり)を見掛けました。

「え? なんで 食パン だけ大書き?」

周囲を見回すと、どうやら美味しい 食パン が売りのカフェが出していたものと理解できました。

それはそれで納得したんですが、同時に『「食パン」の「食」ってなんだ?』と小学生の頃に思った疑問が、約半世紀ぶりに湧き出してきました。(半世紀もほっとくなよ!)

で、調べてみました。

今回は、こんなお話です。


日本人と「パン」

日本人がパンと出会ったのは 、遠く室町時代のことです。
1543年に種子島に漂着したポルトガル人から、鉄砲とともに伝来した説がもっとも有力です。

ポルトガル語の「pao(パオ)」から、「パン」呼ばれるようになりました。

これ以降日本でも、宣教師や外国商人のためにパンが作られていきます。
しかし、パンは日本人に広く食べられるまでには至らず、外国人の多い地域でわずかに作られる程度に過ぎませんでした。(小麦はあんまり作られていなかったですし、鎖国もありましたしね)

江戸時代後期、幕府は来るであろう外国との戦いに備え、 兵糧として「堅パン(乾パン)」の生産を検討し、試作を始めます。

時に1842年4月12日。
日本人によって日本人のために、初めて「パン」が焼かれました。


しかし結局戦いは起こらず、この「堅パン」は量産されませんでした。
また、この出来事にちなんで毎月12日は『パンの日』になっています。

明治に入ると洋食文化の広がりによって、「パン」は一般の人たちにもなじみ深いものになっていきます。
といっても、始めは「あんぱん」や「クリームパン」といった”おやつ的”な存在で、和食の「米」にあたる「主食」としての普及はあまり進みませんでした。

「パン」が食卓の主役になるのは、第二次世界大戦が終わってからです。
終戦間もない1946年(昭21)、小学校で パンと牛乳 の給食が始まりました。
子供たちはたちまち「パン食」になじみ、その習慣が年を追う毎に広がっていきました。

日本人の「主食」として「パン」が日常になったのは、結構最近のことなんですね。

「食パン」の「食」

さて、本題である「食パン」の「食」については、主に以下の2つの説が主流です。

本食パン説

明治時代、日本での西洋料理はイギリス流が主流で、本家・イギリスでの「主食」たる「パン」は、現在と同じ四角いものでした。
これを当時のパン職人たちは、料理の「もと(基本)」になるものとして「本食パン」と呼んでいました。

この「本食パン」の「本」がいつの間にか取れて、「食パン」になったという説がこれです。

 


食パン説

前章で、「食パン」よりも「あんぱん」などの「菓子パン」が人気だったと説明しました。

これを受け、「菓子パン」と区別のため、主食用のパン=「主食パン」と呼ばれたものが変化して「食パン」になったというのがこの説です。

私(管理人)は、この説が結構 ”推し” です。

なんか、現場感が出てません?
 


どちらも、いつも間にか言葉が省略されて「食パン」になったというものです。
両方とも、信ぴょう性がありそうな話ですね。
   


この2つ以外にも、いくつか説がありますので挙げていきます。


「消しパン」説

絵を描かれる方はよくご存知だと思いますが、木炭でデッサンをする時、消しゴムの代わりに「パン」を使う事があります。
「食パン」の白い部分は柔らかいので紙を痛めることはなく、適度な油分が紙とよく馴染み、陰影の表現などに向いているそうです。
「消しゴム」ならぬ「消しパン」ですね。

これを食べるパンと区別するため、「食パン」と呼んだという説です。

てか、パンって食べるものですからねぇ…
なんか、主客転倒って感じがします。
 


「酵母」説

「食パン」の白いところには、たくさん穴があいてますよね。
これは、酵母(イースト)が発酵の段階で糖を取り込んで(食べて)開けた穴です。
(正確には、発酵によって炭酸ガスとアルコールが生まれ、ガスの気泡が膨らんで出来た穴です)

酵母が食べたパン=「食パン」だそうです。

なんか無理やりって気もします(笑)。
 


「鍋」説

浅い片手鍋 を「pan(パン)」と呼びます。
フライパン(frying pan)、ミルクパン(milk pan)なんかがそうですね。

で、この説はそれらの「鍋(pan)」と「パン(pan)」を、調理場で混同しないように「食パン」と呼んだというものです。

間違えるかぁ~!!そんなん。

でも、鍋と間違えてパン持ってくる奴、好きかも。
 


以上が「食パン」の「食」の由来とされているものです。

どうやら、これに関する資料や文献などは少ないようで、”説” にとどまっているのが現状です。


今回は、「食パン」についてのお話でした。

半世紀前の自分の疑問に、ようやく答えが出せた感じで少しスッキリしました。

これからも、私(管理人)が「ん?」て思った事を、調べて書いていきたいと思います。

「食パン」の「食」って なに?  (了)