「ククルス・ドアンの島」を  はじめての「ガンダム」として観る方へ

「ククルス・ドアンの島」を  はじめての「ガンダム」として観る方へ

現在(2022年6月)、アニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が公開中です。

これは初代TVシリーズの第15話「ククルス・ドアンの島」を、新解釈を含め再構成した作品になっています。
ガンダムファンには有名なエピソードなのですが、初めてこの映画でガンダムに触れるという方には、作品の世界観が少々わかり辛いかとも思いますので、ごく簡単にご解説していきます。

これを読んでから映画を見に行けば、作品がより一層楽しめますよ!

今回はそんなお話です。


舞台は『宇宙世紀』

この作品は「宇宙世紀/ユニバーサル・センチュリー(以下 U.C.)」と呼ばれる時代に設定されています。
なんとなく、今から遠い未来だと思ってください。(諸説あるんですが、とりあえず)

この時代は、人口増加よる食料不足や環境破壊を解決するために、地球や月のまわりに建造した「スペースコロニー」という人工の居住地に多くの人が住んでいます。
初めて人類がスペースコロニーに移住した年を「U.C.元年」とし、この作品は「U.C.0079」の出来事です。

地球、月、スペースコロニーは、統一国家「地球連邦(以下 連邦)」としてまとめられています。
つまり、国や地域といったものは無くなっている世界なんですね。

地球連邦とジオン公国の一年戦争

スペースコロニーは地球と月の引力がつり合う地点に、数基ずつまとめて配置されています。
この単位を「サイド」と呼びます。

U.C.0079 1月、「サイド3」というスペースコロニー群が「ジオン公国(以下 ジオン)」を名乗って、地球連邦に対して独立戦争*を仕掛けました。
開戦すると同時に、ジオン公国は連邦側の複数のサイドを急襲し住民を虐殺、その内のコロニーのひとつを地球に落下させ、連邦に大きな被害をあたえます。

また戦力が劣るジオンは、連邦との格差を埋めるための新兵器として人型ロボット「モビルスーツ(以下M.S)」を開発。
その機動力と破壊力は、連邦軍を圧倒し戦局を優位に展開します。

その威力を目の当たりにした連邦は、ジオンに対抗するためのM.Sを急ピッチで開発しました。
この中の一つが主役メカ「 ガンダム」です。

戦力の立て直しとMSの量産に成功した連邦軍は、徐々に劣勢を跳ね返し最終決戦でジオンの軍事拠点を攻略。
U.C0080 1月、ついにこの戦争は終結します。

この戦争をガンダムシリーズでは「一年戦争」と呼んでいます。

今作品「ククルス・ドアンの島」もこの一年戦争の中のお話です。

*ジオン公国の独立戦争

地球を守るために宇宙に移民した人々(スペースノイド)は、地球に住むエリート層が地球を私物化していることに大きな不満を抱いていました。
また、地球連邦はスペースコロニーに対し、重い税金を課すなど植民地のような政策をとっていたこともあり、スペースノイドの中には連邦から独立しようという思想が生まれます。

この思想で政治活動をはじめたのが「ジオン・ズム・ダイクン」です。
ジオンの国名は、この人物からとられています。
ダイクンはスペースノイドの独立と共に、宇宙で暮らす人類が新たな能力の獲得し革新に至るという”ニュータイプ思想”を唱え、彼の住むサイド3全体で独立の機運が高まります。

これをよく思わない連邦は、サイド3に対し経済制裁を科すなど強硬な態度に出て、スペースノイドの不満をさらにあおります。

当初は平和的に独立することを目指していたサイド3側でしたが、ダイクンの暗殺やその後継いだザビ家の独裁政治、多くの軍事衝突などがあり、ついにジオン公国は宣戦を布告することになります。

ジオン公国が戦争を始めるまでの流れは、こんな感じです。
が、作品によって設定が微妙に違っていたりしますので、なんとなくこんな風だと思ってください。


追記:この映画に出てくるジオン軍のシャア・アズナブルと、ホワイトベース乗組員のセイラ・マスはダイクンの遺児です。

ホワイトベースとガンダム

U.C.0079 9月。
連邦の軍艦「ホワイトベース」は、完成した新型M.Sを受領するためにサイド7に入港しました。

この動きを察知したジオン軍は、偵察と破壊のためM.S「ザク」でこれを強襲。
コロニー内での戦闘が始まります。
混乱の中、サイド7に住む少年「アムロ・レイ」(映画の主人公です)は偶然にガンダムの操縦マニュアルを入手、待機中の機体を起動させて2機のザクを撃破します。
これ以降、パイロットとしての資質が開花したアムロは、ガンダムを操り一年戦争を通して活躍していきます。

この戦闘で正規乗組員のほとんどを失ったホワイトベースは、民間人の若者をクルーとし、避難民や破壊を逃れたM.Sを収容してサイド7を出港しました。

ホワイトベースとガンダムは、ジオン軍のエースパイロット「赤い彗星 シャア・アズナブル」の執拗な追撃を逃れ地球に降下。
侵攻したジオン軍勢力下での過酷な戦闘を切り抜け、連邦軍の本拠地ジャブローにたどり着きました。
ここまでのお話が、映画「ククルス・ドアンの島」につながっていきます。

この後は、ぜひ劇場で!!


TV版の「ククルス・ドアンの島」は、放送時からファンの間で話題になりました。

ストーリーの根底に流れる深いテーマ(こちらは映画で!)はもちろんですが、それと共に視聴者にインパクトを与えたのが「作画崩壊」です。
とにかくガンダムとザクのデッサンが狂いまくりで、友人と「話は良かったんだけど、どうしたんだ?あの絵は」なんて話していたことを覚えています。
後に、製作が間に合わず外部に依頼したものの、指示が行き渡らずそのようになってしまったという事を知りました。

今回の映画では最新のCG技術を使い、カッコよく滑らかに躍動するモビルスーツを堪能できます。

まさか「ククルス・ドアンの島」が新作で観られるとは…
良い時代になったもんですなぁ(年寄り臭いですか?すいません)

始めて「ククルス・ドアンの島」を観る方へ (了)